法人税の節税対策|効果的な方法や注意点など
法人税は企業にとって主要なコストのひとつです。
節税対策をきちんとおこなえば、税負担を大幅に減らすことができます。
本記事では、診療所やクリニック経営者の方も実践しやすいものから特に節税効果の高い対策を3つ取り上げ、注意点とともに解説していきます。
【対策①】役員報酬を増額し、損金として計上する
役員の報酬は、毎月同額の給与を支給するなどいくつかの要件を満たすことにより、「損金」として計上できます。
損金とは税務上、会社の収益から差し引けるマイナスの項目のことで、役員報酬を損金として計上できればその分、課税所得を減らせます。
ただし、役員報酬を増やすということは役員個人の所得が上がるということですから、各々が支払う所得税や住民税などは増えることになります。
つまり、会社としてトータルで見ると、納税額がかえって大きくなる場合もあるのです。
また、損金として計上するためには役員報酬を変更するタイミングなども重要ですから、税理士などの専門家と相談しながら適正額などを決めていくのが妥当だと言えます。
【対策②】経営者・従業員の家を社宅にする
会社として物件を借り、経営者が社宅として居住する場合、会社が支払う家賃から経営者が会社に対して支払う賃料相当額を差し引いた分が、会社の経費となります。
つまり、経費計上できる差額分だけ法人税の節税につながるということです。
また、同様のことを従業員に対してもおこなえば、より節税効果が高いだけでなく、従業員の福利厚生にもなり得ます。
ただし、経営者や従業員が会社に対して支払う賃料相当額があまりに低い場合は、課税対象となる可能性もあります。
やはり、税理士などの専門家へ相談しながら適正額を設定するのがベストです。
【対策③】赤字を繰り越す
赤字を繰り越すことも効果の高い節税対策のひとつで、法人の場合であれば最大10年間は繰り越すことが可能です。
赤字を繰り越すと、翌年以降で黒字になった際には繰り越した赤字分(欠損金)と相殺できるため、その年の課税所得が減って法人税の節税につながります。
あるいは一定の要件を満たすことにより、「欠損金の繰り戻しによる還付」を受けられる場合もあります。
欠損金の繰り戻しによる還付とは、黒字の翌年が赤字となった場合、その年の赤字分(欠損金)を前年の黒字と相殺することによって発生する還付金のことです。
ただし、還付があるだけで住民税が減額されるわけではないことに注意が必要です。
まとめ
今回は効果の高い代表的なものに絞って解説しましたが、取り入れられる法人税の節税対策は他にもいろいろとあります。
ご自身の診療所やクリニックに適した節税対策が知りたい方は、税務の専門家である税理士へご相談ください。