新事業進出補助金とは?公募要領や注意点など
中小企業が新たな事業に挑戦する際、設備投資や人件費など多額の資金が必要になる場合があります。
こうしたときに活用できるのが、新事業進出補助金です。
今回は、最新の公募要領を踏まえ、補助対象者や要件、注意すべきポイントを整理します。
補助対象者
新事業進出補助金の対象となるのは、新たな事業分野への進出や事業拡大に取り組む中小企業等です。
「中小企業等」の詳細な定義は、公募要領を確認する必要があります。
補助上限額・補助率・補助事業期間
従業員数によって補助上限額が異なります。
括弧内は「大幅賃上げ特例」が適用された場合の上限額です。
従業員数 | 補助上限額 |
20人以下 | 2,500万円(3,000万円) |
21~50人 | 4,000万円(5,000万円) |
51~100人 | 5,500万円(7,000万円) |
101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
なお、補助対象経費の2分の1が補助されます。
交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)に事業を完了する必要があります。
基本要件
申請には複数の要件を満たす必要があります。
要件 | 説明 |
①新事業進出要件 | 「新事業進出指針」に示された定義に該当する事業である |
②付加価値額要件 | 事業終了後3~5年間の計画期間において、付加価値額(または従業員1人当たり付加価値額)の年平均成長率が4%以上見込まれる |
③賃上げ要件 | 事業終了後3~5年の間に、「1人当たり給与総額の年平均成長率を、都道府県別最低賃金の直近5年間の平均成長率以上とする」「給与総額の年平均成長率を2.5%以上とする」のいずれかを達成する |
④事業場内最賃水準要件 | 事業終了後3~5年間、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より毎年30円以上高い水準である |
⑤ワークライフバランス要件 | 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している |
⑥金融機関要件 | 補助事業の資金提供を受ける場合、金融機関等から事業計画の確認を受けている |
⑦賃上げ特例要件(特例適用時の追加要件) | 事業期間中に給与総額を年平均6%以上増加させ、事業場内最低賃金を年間50円以上引き上げる |
補助対象経費
対象となる経費はさまざまです。
- 機械装置・システム構築費
- 建物費
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
- 広告宣伝・販売促進費
事業計画との関連性や必要性を明確に示すのが採択のポイントとなります。
新事業進出補助金の注意点
交付申請の審査によって、申請額が減額または不採択となる場合があります。
さらに補助金で取得した財産には処分制限があり、譲渡時には残存簿価や譲渡額に応じた返還が必要です。
それから取得した財産は原則、補助事業のみに使用しなければなりません。
まとめ
新事業進出補助金は、中小企業が新規事業に挑戦する際の大きな資金的後押しになります。
ただし申請には複数の要件を満たし、事業終了後も継続的な成長と賃上げを達成する必要があります。
制度を熟知した税理士などの専門家に依頼するのもおすすめです。